モンスターハンターフロンティアで風景写真を撮る

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ついていた男5


旅団の全員が目の前の事態を把握し、恐慌に陥る寸前に、怪物はまた砂の中に潜っていった。

そして再び、自身の巨体が空へと舞い上がらんばかりの勢いで、旅団の中央部から飛び出してきたのである。


たまたま列の先頭のほうで難を逃れた男の目に映ったのは、粉々に破壊され飛び交う荷車の破片や、ごみのように宙に舞う人間の姿であった。


あまりに現実離れした光景を前に、男の思考は完全に停止していた。

が、生存本能であろうか、男の体はその場から脱兎の如く逃げ出していた。


この世のものとは思えぬ奇怪な咆哮をあげ、怪物は更に行商旅団の列を破壊していった。

男はその音を背にしても一度として振り返る事なく、全力で走って逃げた。





そして今、男は背後に迫る“あれ”の恐怖に身震いしていた。


「(来る、追いつかれる・・・!)」


男は一瞬だけ、彼我の距離を測ろうと後ろを振り返った。

そこには紛れも無く先程の怪物が、明らかに男に狙いを定め、“槍”を向けて突進してきていた。



「ぎゃあああああああ!!?」



もはや逃げ切れる距離でも無く、男は狂乱の極致に達し、その場に座り込んでしまった。


“槍”が目前に迫った瞬間、男は何故かまた自分の人生を振り返る事が出来た。



俺の運も、ここまでだったか・・・




その思考を最後に、視界が暗転した。





「・・・・・?」


男が我に帰ったのは、奇妙な唸り声がきっかけだった。

おそるおそる目を開けてみた男は、何故自分が生きているのかという状況を悟った。


男自身は全く気がついていなかったのだが、男の背後には大きな岩がそびえていたのだった。

男が脱力し、たまたま運良くしゃがんだ所を、怪物の“槍”が空振りし、大きなその岩に“槍”がめり込んでいたのである。

男が目を覚ましたのは、角が刺さって身動きが取れなくなり、苦悶の声をあげていた怪物の真下だったのである。



男は幸運にも命の危機を脱し、その場から離れる事に成功した。




「やった・・・・。やっぱり俺には幸運の神様がついてるんだ!
これからの俺の人生、どんな危ない事になっても、俺は死なない!
俺はこの世で最高に幸運な男なんだ!
あっはっはっはっはっはっは!!!」


砂海を脱出すべく走り出した男は、己の強運に酔いしれ、笑い通しであった。


「もうすぐ砂海を抜けられるはずだ。
そうだ、俺はついてるんだ。
このまま行けばもうすぐ街につくんだ。

もうすぐ・・・・・・・・・・・・・・・?」




男は今、砂漠のある一点に微かな違和感を感じていた。

・・・そう、目の前の砂海の中で、一部だけ奇妙に「盛り上がっている」場所があったのだ。

男には当然、それに見覚えがあった。



「そ、そんな・・・・・・・・・・・・」




その場所から、地震のような轟音と振動をともなって、空へ舞い上がらんばかりの勢いで飛び出してきたものがあった。

“それ”は頭と思われる箇所に二本の“槍”が生えていた。

そして

“それ”は如何なる理由か、漆黒の闇を体現するかのように黒く、黒く染め上げられた巨体であった。




その黒き怪物は後に「双角竜」と呼ばれ、出会う事すら困難な、非常に珍しく非常に獰猛な飛竜であったが、男はそれを知る由も無かった。

男は幸運にも、そんな怪物と出会ってしまったのだった。



闇色の飛竜は、この世のものとは思えぬ、奇怪で異様な咆哮をあげ・・・。







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ついていた男4


「(なんでこんな事になったんだ・・・!?)」


男はただ闇雲に、全力で走っていた。


「(何故なんだ、どうして・・・!!?)」


細かい砂に足をとられながらも、男は懸命に走っていた。


特に目的地がある訳でない、というより“あれ”から少しでも離れる為に男は必死に走っていた。


「(くそっ、くそくそくそくそくそお!なんで俺がこんな目に・・・!!)」


男は知る由も無かった。“あれ”は男が必死なって走れば走るほど、その足音に敏感になり、逃げる男を追いかけてくる事を・・・。






「おい、何だあれは・・・?」

「へぃ、何の事で?」

男は自ら発見した異変を団長に指し示そうとしたが、団長はすぐには気がつかなかった。


砂海の各所に点在する岩礁、大きな岩壁のすぐ傍で小休止していたある日の事であった。

男は、遠くの砂の海の一部が、奇妙に「盛り上がっている」事に気がついた。


「ああ、あれはもしかしたら・・・以前話した砂の中を泳いでる奴かもしれませんね。」

団長は男に言った。

「心配ありやせんぜ、奴らは音に敏感でしてね、でっかい音を近くで鳴らすと、びっくりして逃げていっちまうんですよ。まかせてくだせえ。」

団長は男にそう説明すると、手近に居た部下一人を連れて、樽型の簡易爆弾を設置しに行った。


二人はこういった事態に慣れているのか、特に緊張した素振りも見せる事無く、余裕の足取りでその「盛り上がった場所」に近づいていった。



「よかった、特に危険なものではなかったんだな。」

初めてきた砂漠に対して、自分は少し神経が過敏になってしまっているのか・・・。


男がその様子を見て胸を撫で下ろした




次の瞬間




男の視線の先にいた団長が、空に舞い上がった。




「・・・・・・・・・・・・・・・・?」



状況は男の理解できる範疇を、軽く逸脱していた。

突き刺さるような日差し、どこまでも快晴の空に、その団長は何故か不思議な体勢で浮かんで・・・


否、空に舞い上がったかの様に見えた団長は、実際は砂の地面から突き出てきた“槍”のようなものに串刺しにされていたのだった。



「う、うわぁ!?うわああああああああ!!!!」


目の前で起こった事態を全く理解出来なかった男は、地震のような強烈な振動音と、爆弾設置に同行した団長の部下のあげた恐ろしい悲鳴を同時に聞いた。


そして男の前に、“あれ”が姿を現した。


地面から生えてきた“槍”は、さらに団長の体を空高く持ち上げ、続いてその下より、頭、体、羽、脚と・・・。
すべてが赤銅色に染まった巨大な、あまりに巨大な怪物が姿を現した。


それは後に「一角竜」という名で呼ばれる、恐るべき飛竜であったが、男はそれを知る由も無かった・・・。

ついていた男3


国に数多く存在する旅団、そのほとんどが恐れ迂回するという、ある道があった。

それは局所的に猛烈な乾燥現象に何百年と晒され、昼は猛烈な熱波、夜は急激な冷気に襲われるという、とても過酷な砂漠の道である。


「幸運の旅団」は、他の旅団が避けて通るその砂漠を、あえて近道として利用していた。

重い荷車の改造や、旅団人員の装備の軽量化、正確な絵地図の作成など・・・。


男はありとあらゆる手を打ち、安全かつ素早い輸送を、あえて危険な砂漠を利用する事によって行っていた。




そんなある日、たまたま男が商談の為に赴く地に向けて、自らが経営する旅団が出発する事になった。

男はいつも基本的には行商旅団に同行しておらず、自らは裏方として物資人員の手配などを行っていた。
だが今回は偶然にも目的地が一緒であった為、経営者である自らもその旅団に編入したのであった。



男を含めた旅団の道行きは、入念なる準備の賜物か、あるいは幸運の神のご加護か、順調そのものであった。


「普段は軽い事故のひとつやふたつは当たり前なんですがね。
やはり幸運の星のもとに生まれた人が一緒にいると、違いまさぁね。」

旅団の団長を務める者が、男に対し軽口にきいてきたが、男はたいして不快にも思わなかった。



むしろ旅の途中、暇を持て余していた男は、今までの自らの人生を振り返り



俺は、ついている。



と、半ば確信めいてしまうくらいに、男は幸運に恵まれていた。

良き育ての親に偶然にも巡り会えた。

友人達も素晴らしい人物ばかりだ。

旅団経営も軌道に乗っている。

そして家では良き妻が、自分の帰りを待っている。


当然ここに至るまで必死に努力し、頑張ってきた。

しかし自分には“それ以外の”何かがある・・・男にはそう思えた。



「そろそろ、砂漠地帯にはいりやす。」


旅団の団長の言葉で我にかえった男の周囲に見えたのは、一面の広大な砂の海であった。


「ここの砂漠の砂は粒が細かくて、歩くにも難儀するところなんですわ。
おまけに・・・滅多に出会う事はありやせんが、この砂の中を泳いで回ったりする怪物なんかも、いるらしいですぜ。」

なるほど他の旅団が迂回するのも無理はない、と男は改めて思った。



・・・装備を充実させ、完璧な下準備の元に行軍していた男の旅団に、特に大きな問題が起きる事は無かった。

旅団一行はその後も順調に、目的地への道中を進んでいった。


そんなある日。




男は、砂漠のある一点の異変に、偶然にも気がついた。

ついていた男2


男はしばらくすると、夫婦と共に行う商いとは違った、独立した新しい商売を始めるようになった。



折りしもその頃、男が住む国では各地で異変が起きていた。

広大な領土を占めるその国のあちらこちらで、「飛竜」などと呼ばれる巨大な生物が出現し、そこに住む人々に恐怖を与えていたのである。

あげくにはそれに呼応するかの様に、凶暴な肉食種の獣などが、群れをなして人里近くに現れるなどの事件が多発しており、大変危険な状態になっていた。



こういった非常事態に対し国は、すみやかに各地に警備団を派遣したり、独自に雇いいれた傭兵(一般に狩人と呼ばれている)を差し向けるなどして、事態の沈静化を計っていた。


こういった試みは決して無駄なものでは無かったが・・・最近では、とある問題が噴出していた。


国が各地に飛ばした人員に対し応援物資を送る役目を担う行商旅団が、怪物や獣達に襲われる様になってきていたのである。


通常、国が人員を派遣するにあたって踏む手順といえば・・・まず目撃例や被害届などが出た際に、急いで隊を編成し当地へ送り込み、更なる被害拡大を最小限に食いとどめる。

そして事態が深刻かつ素早い処理が不可能な場合には、そこに援助物資を送り込み、調査解決する。

最初から大量の物資と共に人員を派遣していたのでは、当地への到着が大幅に遅れてしまい、被害が拡大してしまう為、これは当然の手ではあった。


唯一の盲点は、事態の解決の為にすでに人員を派遣してしまっているが故の、後続の行商旅団の護衛の不備であった。


人員が無限にいる訳でもなく、ましてや国庫も湯水の如く使えるほどにその国は裕福ではなかった為に起きてしまった事態であった。


行商旅団の多くは普通の一般国民の手で運営されており、自分達の商売道具を各地へ持っていき商売をするという、あくまで“ついで”の、援助物資輸送である。
が、それを国から受けてしまったが故に怪物に襲われ、被害を受けた旅団が日増しに増えるに従って、国からの物資輸送依頼を受ける旅団は減っていった。



・・・幸運な男が目を付けたのが、その物資輸送を国から一手に引き受ける商売であった。



彼は恵まれた人脈を使い、優秀な傭兵を自らの資金で安く雇いいれ、新たに編成した旅団の護衛につかせ、国からの輸送依頼をどんどんこなしていった。


何故かその男が作り上げた旅団は怪物や獣に襲われる数が極端に少なく、また例え襲われたとしてもその護衛が機能的に働き、全くといっていいほど被害は出なかった。


いつしかその男が作り上げた旅団は、「幸運の旅団」と世間で噂されるようになり、噂を信じた人々によって組織人員は膨れ上がり、さらに経営は軌道に乗っていった。

ついていた男1


その男は生まれながらにして、幸運の神に愛されていた。



この世に生を受けた瞬間にその男は・・・今でも理由など知る由も無いが・・・とある場所に捨てられた。

が、たまたま通りすがった心優しい夫婦に男は、幸運にも拾われ、その後も育てられた。



幼少期、その男にとってみれば実に幸運な事に、その夫婦には子供が出来なかった。

血の繋がりが無いとはいえ、その家の唯一の子供として認められた男は、夫婦の愛情を一身に受ける事が出来た。



・・・男がそういった自分の運命的な幸運の才に気づくのは、随分後になってからの事である。



またその夫婦は商才に恵まれており、男は経済的にも不自由する事は全く無かった。


男が少年期に入ると、夫婦の意向で名門と呼ばれる学び舎に所属した。
そして幸運にも大変優れた教師や能力ある友人達に出会う事が出来た。



まるで周囲の環境にあわせるかの様に、男も自らの才能を磨いていった。



やがて男は青年になり、育ての親である夫婦から商いを教わる様になる。

その男にはとても幸運な事に、その夫婦からみても驚嘆するほどの商才が備わっていた。


夫婦と共に商売での成功を収めていた男はその頃・・・後に自分の伴侶となる美しい女性と、幸運にも巡り会う事ができた。

更には学生時代からの周囲の友人達も非凡な才能を発揮し、幸運にも人脈に恵まれた男は、ますます人生を豊かにしていった。



男の生涯は幸運に恵まれており、まさに人が羨む程、順風満帆であった。





・・・「その日」が来るまでは。

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